【人事評価】〜フィードバックの重要性〜

少し前に遡りますが、サッカー日本代表のハリル前監督の解任騒動が起こりました。

その是非をめぐっては、サッカー界でもちょっとした論争になっているようですが、個人的に、この件は人事評価の面でも重要な示唆を含んでいると感じたので、「フィードバック」について書いていきたいと思います。

フィードバックとは?

フィードバックとは、一言で言えば、評価の結果、処遇(昇給や昇進、役職任命)や人事異動を本人に伝えることです。もっと言えば、日々の業務で褒めたり指導したり叱ったり、ということも、通常は本人の能力開発を目的として行われると思いますので、これらも広い意味では評価に入ります。

つまり、人事評価制度を導入していない場合でも、家族経営でもない限り、小規模な病院やクリニックでも、定期的にフィードバックを行っているところは多いということです。そして、フィードバックは評価の中でとても重要な要素であり、時には評価や処遇の結果そのものより従業員に影響が大きいこともあります。

また、従業員のモチベーションにも直結するため、場合によっては従業員の退職や労務トラブルにつながってしまうこともあるため、経営者にとっては意識しなければいけない部分でもあります。

マイナス面のフィードバック

プラス面のフィードバック、つまり一般的には評価を上げたり昇給したり、昇進したりは簡単です。仕事でなくても、ふつうはプラス面の方が自然と言葉が出るかと思います。一方、言いにくいことはつい後回しにしてしまう、という方も多いのではないでしょうか。

ところで、フィードバックの際に起こりやすいこととして、従業員の「期待値」とのミスマッチがあります。例えば、「自分はとても頑張ったから、今度の昇給は1万円くらいだろう」と思っている従業員がいるとします。しかしながら、経営者は、その従業員は確かに成果を挙げているものの、周囲とのコミュニケーションに問題があると考えており、5千円の昇給にしたいと思っています。

この場合、経営者が普段からこのミスマッチを認識して、解消する努力をしないと、昇給の際に従業員の期待値と実際の昇給額に5千円分の差が生じ、従業員からすると不満が残る結果となります。

人事評価面からみたハリル氏の一件

さて、今回のハリル氏の一件をフィードバック、という観点から見てみましょう。

ハリル氏はサッカー協会と雇用の関係ではなく、解任手続きそのものに関してもおそらくは契約上の問題はなかったようなので、通常の企業と同じに論じることはできませんが、様々な話を総合すると、ハリル氏は自分が解任されるとは思っておらず、サッカー協会も彼の問題点を具体的に伝えきれていなかったことで、今回のような騒動に発展したようです。

つまり、ハリル氏の期待値(少なくとも自分は評価されていて、W杯まで指揮を執ることができる)とサッカー協会の評価認識にミスマッチがあり、その理由として、サッカー協会がハリル氏にそのことを日常的にフィードバックしていなかった可能性があります。そして、そのミスマッチが解消されないまま、いきなり解任という結果のみをハリル氏が受け取ったことが今回の問題の本質かな、と思います。

もし、ハリル氏がサッカー協会から
「●●に問題があるので改善してほしい」
「問題を改善したうえで次のテストマッチに勝たなければ進退を考える」
等の、具体的な日常のフィードバックを受けていたら、解任という結果になったとしても、ここまで揉めることはなかったのではないでしょうか。

このように、人事的に見た場合、最終的にマイナス面の事柄を伝えなければいけないときは、人事評価のフィードバックは特にこまめに、かつ具体的に伝えることが、相手に納得感を持ってもらうためにも重要です。