【人事評価】〜人事評価制度について〜

「人事評価」って?

皆さんは「人事評価」(企業によって「査定」「人事考課」等呼び方は様々です)と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?

おそらく、給料や賞与(ボーナス)、昇進や異動の際の判断材料だと考えている方が多数だと思います。これは、従業員、つまり働く側の目線から見た場合に一番目につきやすい部分が賃金や役職だからです。
ところが、経営視点から見た場合、人事評価はもう少し広い意味を持ちます。

経営視点からみた「人事評価」の役割は、組織(企業)成長のための目標達成に向けて、最も重要な資源である「人材」活用のあらゆる人事政策を目的として行われます。
具体的には、①能力開発、②賃金決定、③昇降格(役職任命)、④配置・異動(業務決定)といわれています(下図参照)。
平たく言うと、会社の発展のために、従業員に能力を発揮してももらうために行うことはすべて「人事評価」の役割に入ってくると言ってもいいでしょう。

もちろん、ここでいう「会社の発展」については、経営者自身のビジョンによって変わってきます。極端に言えば、利益のみを追求するビジョンの会社であれば、人事評価も利益を上げた人が評価されるしくみになりますし、顧客満足が第一と考える企業ではまた違った形になってきます。

人事評価制度は不要?

人事評価制度について説明した後でいきなりですが、日本の企業の80%以上は従業員数30人未満の中小企業(2014年厚生労働省調査)です。その半数ではいわゆる人事評価制度(評価シート等による)を導入していない、との調査結果があります(「労政時報」第3873号)。
なお、病院での人事評価制度導入比率は約76%(2014年産労総合研究所)ですが、調査委対象の母数が少ないこと、対象が200床以上の病院がほとんどであることから、これをもって人事評価制度が全ての医療施設で機能している、と結論付けるのは早計でしょう。

おおむね30人未満の事業所では、経営者自身が直接従業員を把握できるから、というのが大きな理由の一つです。そして、経営者自身が直接従業員を把握していることを前提にすれば、「人事評価制度がない」ということは、逆に最も公平で強力な人事評価制度でもあるのです。
企業において、最終的に人事権を持っているのは経営者です。先ほども触れましたが、人事評価制度にとって一番大事なのは経営者のビジョンです。大きな企業になると、経営者自身のビジョンが全体まで行き届かないために、公平性を担保するためにその企業に必要とされる職務要件や能力を定義して、人事部門が人事評価制度を運用します。

ところが、小規模な企業では、経営者が自分自身の経営ビジョンによって、従業員を直接評価し、昇進や異動、給与決定できるため、わざわざ制度を設計する必要がないのです(当然、ひいきや評価を不公平だと考える従業員もいるかと思いますが、そのリスクも経営者自身に直接帰ってきます)。実際、私の知人の人事コンサルタントも、従業員50人を超えたあたりで人事評価制度設計を依頼してくる企業が多い、と言っていました。

この記事を読んでくださっている方は、おそらく医師も含めて従業員が30人未満の病院・クリニックが多いかと思いますので、もしかすると人事評価制度は不要かもしれません。ですので、次回は、「直接」人事評価を行ううえでのポイントを中心に書きたいと思っています。