逃したくない人材の定着率を向上させるためにできること〜採用前のミスマッチを防ぐ

「せっかく採用できたと思ったのに長く勤めてくれない…」「しっかりフォローしていたはずなのに、3か月で辞めてしまった…」

採用後の定着率は、医療現場に限らず、多くの企業人事担当者の悩みとするところではありますが、医療分野においては、その職種の特殊性(専門性)ゆえに、より深刻な問題と感じられる方も多いのではないでしょうか。

ちなみに、2017年上半期の医療・福祉分野の離職率(半年間の離職者数を1月時点の従業員数で割った比率)は8.5%で、実は全産業平均値とほぼ同じとなっています。これは人材流動性が大きい業種(専門的なスキルをあまり必要としない飲食業など)が全産業の離職率を引き上げているためで、専門スキルを必要としている職種としては、やや高い数値だと言えます。また、勤続年数は約8年強で、これは主要産業の中では最低(平均値は約13年)となっています。

とはいえ、どのような企業であれ、採用した人材のうちの一定数が短期間に離職してしまうことはあり得ることであり、離職理由も個々で違う以上、これをゼロにすることは事実上不可能です。ただし、そんな中でも、ちょっとした工夫で離職を予防できることもあるかと思いますので、私見も含めていくつか申し上げたいと思います。

なお、「離職防止」というと、どうしても採用「後」に原因を求めがちですが、実は、離職の大半は採用面接段階でミスマッチを見抜けなかったことや、応募者と面接者の意思疎通がうまくいかなかったことに起因する、と言われていますので、今回は採用「前」にできることを紹介していきたいと思います。

必要な要件・ポジションを面接前に「もういちど」整理してみる

面接時のフィーリングはもちろん大切にすべきですが、それ以外にも、面接前に確認しておきたい点を書き出しておくことが大切です。ここで重要なのは、履歴書や経歴書でもわかるような知識やスキル、希望の給与額といった内容ではなく、面接でしかわからないような内容をしっかりと確認することです。

例えば、

  • 周りのスタッフとコミュニケーションは取れそうか?
  • 主要な患者さんの層・外部業者とのコミュニケーションはうまく取れそうか。
  • 仕事上でストレスを感じるのはどのようなこと(仕事の「量」「質」、職場の人間関係、職場環境や仕事の変化etc…)

上記のような点は、その重要性はわかっていても、いざ面接となると、専門知識や技術の確認に終始してしまう方が多いのではないでしょうか。

①については、個人で完結する職種でない限り、実は非常に重要なポイントとなります。私の知り合いのある小売業の店長は、アルバイト面接の際に最終的に性格的な「キャラかぶり」を意識して採用者を決定する、と言っていたことがあります。もちろん、基本的な人間性やスキルを満たした上での話ですが、例えば、同じチームの中に「ボケキャラ(笑)」「リーダー気質」が複数にならないようにすると、チームがうまく回るそうです。そのためには、採用者にどのような立ち位置で働いてもらうかをきちんと決めておかなければいけません。

②は、それぞれの病院によって出入りする人の属性は異なるはずなので、そのような人たちとうまくやっていけるか、例えばお年寄りに接するのが得意な人、子どもの扱いが上手な人等、病院の特性に合わせて見極めが必要です。

③は、そのまま素直に回答してくれる応募者が少ないかもしれませんが、面接の中でそれとなく確認をすることで、採用後のフォローがしやすくなります。また、

 

現場で働く人間との面談の場を設ける

それなりの規模の一般企業の面接では、ほぼ100%、現場で一緒に働く人間との面接が行われますが、オーナー企業や少人数の企業では行われないことも多いそうです。採用後、一緒に働くことになる方からの意見を聞いておくことで、現場からの理解が得られやすくなり、後々のフォローにつながります。可能であれば、実際の勤務体験をしてもらう、といった方法もあります。

 

応募者の仕事のスタンスを知る

オーナー企業によくあることですが、会社の創業者やオーナーは、仕事に対して自分と同じモチベーションを知らず知らずのうちに求めがちです(特に雇われる立場になったことのない人にこの傾向が強いです…)。「従業員」の立場で働く人間は、「仕事第一」の人だけはなく、人生や生活の中での仕事の位置づけも様々です。この点を理解せず(というか、自分と同じスタンスであると思い込んで)に、スキルや技術だけで人選を行うと、ミスマッチにつながります。

 

以上、採用「前」にできるミスマッチ防止の工夫をいくつか挙げてみました。機会があれば採用「後」のフォローについても書いてみたいと思います。

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